3人の子どもを育てながら助産師として活躍するちーちゃんさん。訪問看護ステーションを夫と共に運営しながら、SNSでの情報発信も行う彼女に、子育てと仕事の両立についてお話を伺いました。

弟の出産立ち会いがきっかけで助産師の道へ

ちーちゃんさんが助産師を目指したのは、弟の出産に立ち会った経験がきっかけでした。「母が命がけで出産する姿を目の当たりにして、すごく衝撃を受けました。また、元々自立心が高かったことと、女性にしかなれない職業という点に惹かれて助産師を志しました」と当時を振り返ります。

高校卒業後、看護の専門学校、そして助産師の資格取得のために大学へ進学。その後、総合病院で8年間勤務し、産婦人科外来や産婦人科病棟で助産師としての業務を行ってきました。


自身も早産を経験、専門知識と母親の経験を活かす

ちーちゃんさん自身も妊娠・出産で大変な経験をしています。第一子が妊娠31週(約7ヶ月)で陣痛が来て早産になったといいます。

「初めての妊娠出産で、しかも助産師としての知識があっても、初めて経験することへの不安はすごく大きかったです。陣痛が来て救急車で大きな病院に搬送され、2週間の安静治療を経ても改善せず、1600gの小さな体で生まれました」

この経験が、今の仕事に活かされているとちーちゃんさんは言います。「早産児のお母さんのお話を聞いたり、私の助産師としての経験を活用できるのは、長女の早産を経験して培った部分が大きいと思っています」


自作のイラスト付きで情報発信


ちーちゃんさんはSNSでも助産師としての知識を活かした情報発信を行っています。特徴的なのは、自ら解剖図も自らイラストを描いている点です。

「助産師が思い描いている妊婦さんの姿や、出産のときのいきむ姿勢、赤ちゃんの体の仕組みなどの素材を探しても良いものが見つからなかったんです。また、医療系の素材は有料で高かったり、利用不可のものが多かったので、自分で描いてみようと思ったのもきっかけの一つです」と語ります。


解剖図などイラストで表現することで、親しみやすく、ち-ちゃんさんの世界観も保たれている点が素晴らしいですよね。


特に反響が大きかったのは、「出産のいきみ方」に関する投稿と、「3人年子助産師の働き方」に関するリール動画だったそうです。「働くママさんが多いので、そういったところで応援してくれたり共感してくれたりする部分で伸びたのかなと思います」


訪問看護ステーションを立ち上げ

現在は夫(看護師)と共に1年前に立ち上げた訪問看護ステーションで活動しています。「元々夫婦で独立したいという夢があったんです。2025年は団塊の世代が高齢期を迎えるタイミングなので、訪問看護で地域を支えようと考えました」と話すちーちゃんさん。

スタッフは約10人に成長し、訪問看護ステーションでは高齢者から新生児まで幅広い年齢層のケアを提供しています。「私は助産師の資格を持っているので、新生児の依頼が来たときは看護師と一緒に同行して、赤ちゃんのお世話や沐浴の入れ方、ミルクの出し方などをママに教えることもあります」


仕事と3人の子育て、両立の秘訣は?

上の2人は保育園に通い、末っ子も最近保育園に入所したというちーちゃんさん。仕事と育児の両立は大変だといいます。

「夫も協力的で育児や家事をやってくれますが、お互い仕事量が半端ないので毎日必死です。夫は代表で管理業務を担当し、私もいろんなことにチャレンジしているので、日中はフルパワーで活動しています」

効率的に日々をこなすための工夫を尋ねると、「食事のサポートとして出張シェフを利用することがあります。2時間で1週間分の作り置きを作ってくれる方に、週1回や月2回お願いすることも。あとは時短できる家事家電をフル活用しています」と答えてくれました。

また、「仕事量がすごくたまってきたりするときは夫と相談して、『この時間は子どもたち3人を見ていて、その間に私が仕事する』というように交互にやりくりしています」と家族の協力体制も大切にしているそうです。


年子育児の大変さと喜び

3人の子どもが年子ということで、大変なことを尋ねると「3人同時に『イヤイヤ』が重なったときは、物理的にどうしようもなくて」と笑います。そんなときは実家の手を借りたり、これからはファミリーサポートの利用も検討しているそうです。

一方で、年子育児の良いところも教えてくれました。「一気に育児が段階ごとに終わっていく感覚があります。オムツが取れたり、1人でご飯を食べられるようになったり、ママのお手伝いができるようになったりという変化が年々見えるので、そこがすごく楽しいです」

また、「子どもたち同士の仲が良く、将来を想像すると、年子で学校も一緒だしと考えると、子どもたちにとっても良いのではないかと思っています」と語りました。


今後の活動

今後の活動については、「産後ケア事業を立ち上げたい」と話すちーちゃんさん。「訪問看護の事業が安定してきたタイミングで、もう一つの柱を作りたいです。沖縄県出身なので、県内の産後ケアにも携わっていきたい」と意欲を見せます。

さらに、「オンラインで妊産婦さんと関わりたいと思っています。マンツーマンでお一人を妊娠期から出産後までサポートする、24時間いつでも相談できるようなシステムを作れたらと考えています」と将来の計画も教えてくれました。



ちーちゃんさんのプロフィール(@josanshi_chiichan)

3人の子どもを育てながら助産師として活動。弟の出産に立ち会った経験をきっかけに助産師を志し、専門学校と大学で学び、総合病院で8年間勤務。現在は夫と共に立ち上げた訪問看護ステーションで、産後のママと赤ちゃんのケアに携わる。自身も早産の経験があり、その経験を活かした寄り添うケアを提供している。