「出産後に夫婦の仲が悪くなった」「夫がキライになった」というママの声を耳にすることがあります。夫婦のかたちはさまざまですが、多くの方が一生を添い遂げるつもりで夫婦になったと思います。それがかわいい我が子の誕生とともに夫婦関係が崩れてしまうのはつらいですよね。今回は産後の夫婦関係が悪化しないためにできることとは何か?ということを考えてみました。
この記事の目次
- 産後クライシスとは?産後夫婦関係が急激に悪化すること
- 産後クライシスのきっかけになりうるポイント
- 産後クライシスと感じたら…夫婦仲を悪化させないために
- 産後の夫婦の衝突はつきもの!のりこえた先に夫婦の絆がある
産後クライシスとは?産後夫婦関係が急激に悪化すること
妊娠を経て、無事出産。これから夫婦そろって力を合わせ、子育てをしていくぞ!という気持ちでいっぱいかもしれません。しかし、産後から3年ほどの間で夫婦の仲が急激に悪くなってしまうことがあります。これを「産後クライシス」と言います。
産後の夫婦関係の悪化についてはもともと産後に起こりうる現象で、2012年に放送されたNHKの番組によって産後クライシス呼ばれることで、その現象の呼称として広く知れ渡るようになりました。
産後クライシスのきっかけになりうるポイント
実は産後には、夫婦仲が悪くなりやすいポイントがいくつかあります。
産後うつ・産後ブルー
産後の女性はホルモンバランスが崩れがち。その影響もあってひどく落ち込みやすかったり、「ガルガル期」といって、子供を守ろうとするあまりにまわりに威嚇しがちになったりします。
また、授乳などの睡眠不足などもあり、イライラしやすい、体調を崩しやすいこともあります。
今までの妻と違う様子を見て、びっくりする夫もいらっしゃるかもしれません。
ワンオペ育児
ワンオペ育児は、ママにかかる身体的負担よりも精神的負担が大きいです。
その部分がパパに理解してもらえないことで、産後クライシスに繋がります。
育児ノイローゼ
乳幼児期は24時間、母子でべったりです。昔と違い、地域で子育てする文化も廃れ、外で遊ばすにも気を遣わなくてはならないことも多く、ママが育児疲弊を起こしやすい環境になっている現代。
疲れるとイライラしてしまいがちになり、夫婦での衝突の火種に。
夫婦の会話の減少
夫婦ふたりで生活していた時は、お互いの工夫次第で時間がとれていても、出産後は子育てに追われ気づけば夫婦の会話がない、あっても子供の話題ばかり、ということもあるかもしれません。
夫婦の会話が減ると、お互いの状況がわかりづらく、齟齬が生じることで産後クライシスへと繋がっていきます。
セックスレス
夫側がセックスを希望しているのに妻が拒む、というケースばかりではありません。妻側も夫とセックスをしたくとも産後拒まれるようになった、というケースもあります。セックスレスは産後クライシスだけでなく、離婚の原因にもなります。
夫婦同士のケア不足
お互いが相手を思いやる気持ちに欠けてしまうことで、夫婦関係がギスギスしていくでしょう。
著しいライフスタイルの変化に伴う夫婦関係の変化
産後はライフスタイルが著しく変化します。変化は必要であり成長でもあるのですが、変化することはとてもパワーがいること。そのため疲れやすくなるのは当然です。疲れると判断力が鈍り不安が増え、イライラが募ることに。
また、妻側からみれば、産後の変化が少ない夫に苛立ちを感じやすいものです。変化は一目瞭然のため、察してほしい気持ちさえあるかもしれません。
産後クライシスと感じたら…夫婦仲を悪化させないために
産後、乳幼児を育児していく中で、夫に対してイライラすることが増えた、けんか腰に会話するようになった、無視し続ける日々が続いている、なんていうときはもう産後クライシスかもしれません。
産後クライシスかも、と気づいたら取り組んでほしいことを紹介します。
「夫婦の会話」の時間の確保をすること
まずはこれです。夫婦の会話が必要です。この時、妻は夫に「事実を淡々と伝える」ことを意識してください。夫は会話の重要性を再認識してください。
産後の夫がするべきこと、夫にしかできないことはやはり『妻のケア』なのです。夫婦の会話は妻のケアも兼ねていますので、夫側からも積極的に持ち掛けてほしいポイントでもあります。
産後うつや育児ノイローゼは専門機関を頼ろう
産後うつや育児ノイローゼなど、出産に伴うママの体調不良を家族間で解決しようとすると、産後クライシスに繋がりやすくなるのではないでしょうか。
「かわいい我が子を産んでボロボロだからパパにケアしてもらいたい…。」と産後うつなどの状態を、愛するパパにケアしてほしいというママの気持ちがあるかもしれません。
しかし、パパは専門家ではないため、産後うつや育児ノイローゼのケアをすんなりできるかは疑問です。
家族の問題は家族で解決しよう!とすると、ママのメンタルがボロボロになり、その結果夫婦仲が悪化したり、子供の育児放棄に繋がったり、と家族が崩壊してしまうことも十分に考えられます。
祖父母世代やそれよりご年配の世代は「家族の問題は家族で解決する」という時代を生きてこられたかもしれません。しかし、今は状況が違います。
ママがつらいと感じるのなら、産婦人科や心療内科などの専門機関を頼りましょう。いきなり受診するのに抵抗がある方は、まずは地域の保健師に相談するところからはじめてみてください。
育児はひとりでしない!
乳幼児の子育てをひとりでするのは、産後うつや育児ノイローゼに繋がります。親であるパパにもできるだけ早いうちから育児参戦してもらうようにしましょう。
家庭の事情や仕事などで、パパがなかなか育児参戦できない場合は、実の両親や義両親など借りれる大人の手はたくさん借りた方がいいです。
他にも行政や保育園、子育てひろば、ママ友、ベビーシッターなど…。もちろん、なかには育児をひとりで出来る人もいますが、多くは人の手を借りてでしか子育てはできません。
育児は初心者ふたりではうまくいかなくて当然
そもそも産後クライシスは、もともと起こりやすい現象です。ということは自分たちの親世代もその親世代でも起こっていたことなのです。ただ、家族の問題だったため今まではみえてこなかったのでしょう。
これは、パパもママも初心者だから仕方ありません。うまくいかなくて当然、という心持ちがあるだけで少し気持ちが楽になるかも。
ひとりの時間を確保する
現代のパパママ世代はひとりっ子や、ふたり兄弟の人が多くいます。そのため、子供のころから自分の部屋を持ち、社会人になってからはひとり暮らしをしていた、という人も多いでしょう。
「四六時中だれかと一緒にいる」という変化は、個人差はありますがとてつもなくストレスになりうるでしょう。
子供と離れるのがつらすぎて憂うつ、といったことでなければ、リフレッシュのためにひとりの時間を持つことはとても重要。これはパパママ双方が思いやってその時間を確保できるように働きかけることが大切です。
ひとりの時間が欲しい時は、察してもらうのではなくきちんと伝えるように出来るといいですね。
感謝の気持ちを伝えあう
一緒に過ごす時間が長くなるとつい「当たり前」のことが増えてしまいがちになります。こんな時こそお互い感謝の気持ちを忘れないようにしたいですね。
セックスの話はきちんとしよう
セックスについては、はずかしがらずにきちんと話しておきましょう。
産後いつぐらいからセックスできるのか 、ということは機能的に言えば産後1~2ヶ月から可能です。しかし、気持ちの面で、まだセックスができないケースもたくさんあります。
女性側だけでなく、男性側も「子供を産んだら女性としてみれなくなった」ということもあります。
断る側は、自分がどういう状況で、どういう状況になれば応じることができるようになるのか、ということを相手に伝える努力が大切です。
応じられる状況にできない、というなら夫婦間の会話だけでなく保健師や産婦人科など第三者に相談することも視野に入れましょう。
産後の夫婦の衝突はつきもの!のりこえた先に夫婦の絆がある
産後の夫婦の衝突はつきものです。みんな知らないだけで家族の数だけ色々あります。筆者も産後に体調を崩したり、育児に疲弊したりして、何度「離婚する!」と号泣したことか数え切れません。
ただし、子供ができたことに伴うライフスタイルの変化で、夫がDVをする、モラハラ、マネハラをする
であったり、度を越した「子供がいるから仕方ない」ということがあれば、夫婦関係を解消することも選択肢に入れておくことも大切です。
個人によって判断基準が異なるため、迷うこともあるかもしれませんが、産後クライシスはみんながみんなのりこえられることではないのです。ただ、せっかく一生添い遂げようと感じた相手ですので、できえば夫婦で衝突しながらものりこえていきたいですね。
(Photo by:写真AC)