母乳とミルク、両方を授乳する「混合育児」。積極的に混合育児を選択している人よりも母乳育児を目指して混合育児をされている方が多いかもしれません。卒乳まで混合育児で2児を育てた筆者の体験談を交えながら、今回は混合育児のやり方について紹介します。
この記事の目次
- 混合育児のやり方!「基本は母乳から」
- 【月齢別】ミルク量の目安は完全ミルクの量と赤ちゃんの体重がポイント
- 【体験談】完母を目指した結果…1ヶ月健診で体重が引っかかった話
- 混合育児のメリット4つ
- 混合育児にはデメリットも
- 大切なのは赤ちゃんの成長!完全母乳を目指さなくてもいい
- 全員プレゼント!お食事用「バーバパパのエプロン」
混合育児のやり方!「基本は母乳から」
妊娠中に授乳のシミュレーションをしている人はなかなかいないかもしれません。また、シミュレーションをしていても、想定通りにいかないのが「育児」。混合育児をするにあたり授乳のやり方についてまずは見ていきたいと思います。
基本は母乳から
基本的には射乳反射を促すためにも「母乳」が先。
そして、足りない分をミルクで補うスタイルです。
母乳で足りる時は足さない時もありましたし、自分の身体がつらい時などは母乳をパスしてミルクだけ、の時もありました。
ミルク量と赤ちゃんの体重をチェックする
混合育児にかかわらず、赤ちゃんへの授乳のやり方で大切なのが「授乳量」です。
数値など詳細は後述しますが、月齢に応じた「完全ミルクの目安量(1回に与える量や1日の回数)」を参考に、赤ちゃんの授乳前後の体重をチェックしてみましょう。
- ①母乳の授乳前に体重をはかり、母乳の授乳が終わった後に再び体重をはかります。
- ②1回の授乳目安量が100cc程度だった場合、授乳前後の体重の差が40ccであれば、60cc前後ミルクを足す。
筆者はひとり目の時は体重計を使用しなかったため、子どもの体重管理ができなかった苦い経験があります。その経験を活かして2人目は体重計をレンタル。
気をつけてほしい点は授乳のたび、毎回はかると手間がかかる上に、数字ばかりを気にして一喜一憂したり、神経質になったり、かえってストレスになること。
筆者はその日の2~4回目の授乳(大体お昼~夕方くらい)の1回だけ計測していました。
母乳の射乳反射を促すのであれば、頻回授乳で射乳反射を。ただし、ずっと授乳、というような状況ではママも赤ちゃんもへとへとになってしまうので、ミルクを1回分授乳して少し休憩することも大切です。
【月齢別】ミルク量の目安は完全ミルクの量と赤ちゃんの体重がポイント
ここでは先述のミルク量について月齢別に数値をまとめました。
完全ミルクの目安量
新生児~1週間
1日60~80ml×8回
2週間~1ヶ月
1日80~120ml×7~8回
1~2ヶ月
1日120~160ml×6~7回
合計700~1000mlが目安
3~4ヶ月
1日160~200ml×5~6回
合計1000mlが目安
※お使いになられているミルク缶に記載されている規定量を超えないようご留意ください。
赤ちゃんの体重増加目安
新生児~生後3ヶ月
25~30g/日
生後3~6ヶ月
15~20g/日
WHOでは生後0ヶ月~6ヶ月までは1週間に100g~200gの増加が望ましいとされています。
1日計算に直すとおよそ14.3~28.6gと、日本における目安と近似値ですので、世界共通なのかもしれませんね。
【体験談】完母を目指した結果…1ヶ月健診で体重が引っかかった話
(筆者の子の母子手帳。出産すれば母乳は出るものと思っていた自分に反省)
筆者の体験談ですが、産後思うように母乳が出ず、ミルクを足していました。
ミルクを足しすぎると、母乳が出にくくなる、どんどん吸わせないと母乳が作られない、頻回授乳はよくない、授乳間隔があきすぎるとよくない、などさまざまな授乳の情報に左右されすぎて、子どもの様子をしっかり観察できていませんでした。
母子ともに授乳は初体験なのです。私もあげるのは下手だし、子どもも飲むのは下手。そんなことに気づく余裕もなく、「飲ませればたくさん出るようになる!」と思っていました。
1日当たり6.5gしか増えていなかった
しかし、1ヶ月健診で娘の体重は何と出生時の体重から見ると1日6.5gしか増えていませんでした。
新生児のころは1日25~30gの増加が目安です。
母乳が出るようにたくさん工夫し、食事も気をつけ、授乳の頻度や時間を増やし、両手は腱鞘炎になり、睡眠不足でふらふら、悪露は止まらない…そして母乳相談にも行き…と過ごした1ヶ月。
それでも子どもの体重が増えていない。この事実は「これってネグレクト?虐待?母親失格???」と自分を責める理由になりました。
今振り返ると産後うつに近い状態だったのかもしれません。
ひとりで抱えず専門家に相談
それ以降、ミルクの量を増やしたのは言うまでもありません。週に2回ほど小児科に行き、体重を測定して半月ほどで体重増加数値が目安程度に安定しました。
現在、我が子はすくすくと成長し、健康状態も問題なく、どちらかと言えば標準より身長も体重も大きめで成長しています。後遺症なども一切ありませんし、風邪をひきやすいという体質でもありません。性格も特にひねくれた様子もありません。
とはいえ、この時の後悔は一生消えることはないでしょう。ママに愛情があって一生懸命やっていても、子どもを危機にさらすこともあることを知ってほしいとともに、どうかそんな自分を責めないためにも専門家の力を存分にかりてほしいと思います。
この1ヶ月健診を機に、医師や助産師の指導を受けたり、保健師と相談したりしながら、混合育児を進めていった結果、完全母乳になることはありませんでしたが、子どもが元気ならそれでいい、と思っています。
混合育児のメリット4つ
上記のように子どもにつらい思いをさせた筆者ですが、混合育児を通して感じたのは「母乳とミルクのいいとこどり」な点です。
授乳がママ以外でもできる
完全母乳と違い、ママ以外が授乳できるのがメリットのひとつ。ママの心理的身体的負担の軽減とともに、パパの早期育児参加が期待できます。
筆者の夫も第一子のころからミルクの授乳をしていたおかげで、二人目はこちらがレクチャーすることなく、粉ミルクを適切な温度に調乳し、授乳してくれていました。
激務でなかなか子どもに会えない夫でしたが「パパよりママがいい」ということがないので、生後間もないころからミルクでの授乳で育児参加をしていた点も影響しているのではないか、と個人的には思っています。
人に預けやすい
上記のメリットと似ていますが、ママ以外でも授乳ができるということは、母乳育児よりも人に預けやすくなります。
0歳の早いうちから保育園や保育ママなどの保育機関を利用する予定の方は、混合育児や完全ミルク育児の方がスムーズに預けることができるかもしれません。
夜しっかり寝てくれる
これは筆者の授乳経験則なのですが、夜22:00~24:00ごろの授乳の際にしっかりとミルクをプラスすると、お腹がすいて起きることがないためか比較的長く寝てくれるような気がします。
ただし、これは生後1ヶ月以降のイメージです。
新生児の時はまだ一度にたくさん飲めませんので、細切れ睡眠は必至。ただ、夜間の一回分をミルクだけにしてパスする、ということも混合育児なら可能ですので、パパがお休みの日などは夜間授乳をお任せしてみるのもいいかもしれません。
母乳を出すことでママのケアに
母乳を出すとホルモンが分泌され、子宮の戻りが早くなったり、幸せな気持ちになったりすると考えられています。
混合育児にはデメリットも
いいとこどりではあるものの、デメリットもあります。
授乳の時間が長くなりがち
母乳だけやミルクだけとは違い、混合育児は母乳+ミルクのスタイルですので1回の授乳の時間が長くなりがちです。
母乳の授乳期間が短くなりがちかも
母乳の出が安定しない、少なめの場合は、完全母乳よりも母乳の授乳期間が短くなるかもしれません。ただ、考え方を変えれば、断乳に苦戦することがあまりないと言えるのではないでしょうか。
乳頭混乱が起こるかも
乳頭混乱とは、母乳を嫌がり、哺乳瓶からしか飲まないことです。我が家は2児とも起こりませんでしたが、赤ちゃんによっては乳頭混乱が起こるかもしれません。
大切なのは赤ちゃんの成長!完全母乳を目指さなくてもいい
混合育児をしているママの多くは「完全母乳」の母乳育児を目指している方が多いかもしれません。実際に筆者もそうでした。ただ、体験談の通り、完母にこだわるあまり赤ちゃんの観察がおろそかになったり、母乳が出ないことに失望したり、責めたりと母にとっても子どもにとってもいいこだわりではなかったと感じています。
産後は急激なホルモンバランスの変化や慣れない育児、睡眠不足、産褥期トラブルなどママの身体にはとてつもなく大きな負担がかかっています。そのため、いつもなら冷静に判断できるタイプの女性であっても、大切なことがみえなくなってしまうなんてことは起こりうるのです。
授乳期が過ぎれば、母乳もミルクもかわりない愛情たっぷりの授乳だと思えるのですが、授乳真っ只中だと気持ちの切り替えがうまくいかないときもあります。
大切なのは、赤ちゃんがすくすく育つことと、ママが少しでも笑顔でいられるようにすること。
負担がかかりすぎると、正常な判断ができなくなりますので、自分の考えに寄り添ってくれる相談先を見つけ、親子にあった授乳ができるように進めていきたいですね。
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( 参考:「乳幼児身体発育評価マニュアル」)
photo by photoAC