「私、看護師なのに頭が真っ白になって、手が震えちゃったんです」

そう語るのは、3人のお子さんを育てながらSNSで育児情報を発信する、おひたまさん(ohitama.nsbaby)。看護師として数々のアレルギー症状を見てきた彼女が、なぜパニックになってしまったのでしょうか。


我が子のアナフィラキシー、看護師でもパニックに

おひたまさんの3人目のお子さんが、離乳食で食物アレルギーによるアナフィラキシーを起こしたのは、生後7ヶ月の頃でした。

「仕事でアレルギーの子も見ていたし、知識もあったはずなのに、自分の子がなると本当にパニックで。え、どうしようって。今思い返しても、あの時の不安は本当に大きかったです」

看護師という専門職でさえこれほど不安になる。では、初めての育児で、医療知識もない多くのママたちはどれだけ不安だろう―その思いが、おひたまさんの発信活動のきっかけの一つになりました。


より多くのママの不安を軽減したい

おひたまさんがSNSでの情報発信を始めたのは、2025年7月。3人目のお子さんが少し手が離れてきたタイミングでした。

「1人目、2人目を育てていた時、本当に孤独だったんです。里帰りもしなくて、初めての育児で分からないことだらけ。子どもがいる友達も少なくて、相談する相手もあまりいなくて」

そんな経験があったからこそ、今も同じように悩んでいるママたちの力になりたいと思ったのです。

特に、3人目の育児では6年ぶりということもあり、自身も情報を探す中で多くの発信者に救われました。

「今は色々な方が発信してくれていて、本当に助けられたんです。短い時間でも分かりやすい情報が得られるって、忙しいママにとってすごく大事で。だから今度は自分が、他のママたちの手助けになれたらって思いました」


赤ちゃんの危険なサイン、一番大事なのは?

看護師としての経験を活かし、おひたまさんは子供の病気に関する情報を中心に発信しています。中でも反響が大きかったのが「熱性けいれん」についての投稿でした。

「自分の子は経験していないんですけど、予習ができた、ポイントが分かってよかったってDMやコメントをたくさんいただきました。知っているだけで、いざという時の動きが違うんですよね」


特に注意すべきことは?

「一番は、普段と違うなって思うことです。やっぱりママが毎日見ているからこそ、ちょっとの変化に気づけると思うんです。永遠に泣き続けるとか、誤飲による体調不良とか、普段と違う泣き方は要注意です」

特に誤飲については、緊急時の対応が重要だと言います。

「口の中に入っている時は、まず口の中の物を取り除く。もう入っちゃって詰まっている時は、逆さにして背中をバンバン叩く。これはすぐにやってほしいです」


3人育てて分かった「適当さ」の大切さ

3人のお子さんを育てる中で、おひたまさん自身も大きく変化したと言います。

「1人目の時は、もう全部完璧にやらなきゃって思っていたんです。でもだんだん手を抜くところが分かってきて。3人目は本当に適当になりました(笑)」

その程よい「適当さ」こそが、育児を楽しむ秘訣だとおひたまさんは言います。

「離乳食も、1人目は本当に頑張って作っていたんですけど、今はベビーフードもどんどん使うし、抜けるところは抜く。完璧を求めすぎると、育児が楽しいって思えなくなっちゃうんですよね。いっぱいいっぱいになりすぎちゃって」


孤独を感じているママたちへ

現在、育児中のママ・パパたちへ向けて、おひたまさんはこんなメッセージを送ります。

「育児って孤独だったり、1人で頑張りすぎてしまいがちなんですけど、頼れるところは頼ってほしいです。身近な人はもちろん、私みたいに発信している人にDMしてもいいんです。少しでも不安がなくなって、子育てを楽しいと思えたら嬉しいので、いつでもDMください」

今後は、子供の病気に関する情報発信を継続しながら、「個性学」という統計学を学び、一人ひとりの子どもの特性に合った関わり方についても発信していく予定だそうです。

「子どもって本当に一人ひとり違うじゃないですか。同じように育てても全然違うんです。だから、その子に合った対応の仕方を知れば、ママも子どもも、家族みんながハッピーになれるんじゃないかなって思っています」

看護師としての専門知識と、3人の子育て経験。そして何より、かつて自分も悩み、孤独を感じたからこそ伝えられる言葉。

おひたまさんの発信は、今日も誰かの不安を軽くし、育児を楽しむきっかけを作っています。



●教えてくれた専門家 おひたまさん(ohitama.nsbaby
看護師である3児の母。1人目、2人目の育児で孤独や不安を経験し、3人目の子どもが食物アレルギーによるアナフィラキシーを起こした際、看護師でありながらパニックになった経験から、ママたちの不安軽減を目指して2025年7月から情報発信を開始。現在はInstagramで子どもの病気やケアに関する情報を中心に発信。「育児を楽しんでもらいたい」という想いのもと、DMでの個別相談にも対応している。今後は個性学を取り入れた、一人ひとりの子どもに合わせた関わり方についても発信予定。